今回は、東北地方在住のSさんにお話を伺いました。SさんはVARYに2期目から参加している長年のメンバーです。インタビューでは、「肯定的な注目」が子どもへの関わりだけでなく、夫婦の関係にも少しずつ変化をもたらしていった様子を語ってくださいました。

「2歳ごろの写真。公園が大好き。好奇心旺盛で、冒険が好きな子供でした」=Sさん提供
――お子さんについて教えてください。
(Sさん)小学2年生の男の子です。とても優しい性格で、困っている子に物を貸してあげたり、泣いている子がいると先生を呼びに行ったりします。好奇心も旺盛で、いろいろなことに興味を持つ子です。
第1子ということもあり、発達の遅れにはなかなか気づきませんでしたが、幼稚園に入ってから周りのお子さんと比べて「あれ?」と感じることが増えていきました。言葉がゆっくりで、二語文が出るようになったのも年少のころでした。言葉でのやり取りが少し苦手で、こだわりの強さもありました。手をつなぐのが難しかったり、エスカレーターを繰り返し乗り降りしたり、思い通りにいかないと座り込んでしまうこともありました。
3歳ごろに受診し、発達の遅れを指摘されましたが、その後もはっきりとした診断名はつきませんでした。担当の先生によって見立ても異なり、親としてはどうして良いかわからず不安でいっぱいになりました。
そんな中、VARYの佑美先生のお話しを聞くうちに「診断名にとらわれなくて大丈夫」と思えるようになり、少しずつ気持ちが楽になりました。今は「子供の育ち」を信じられるようになりました。
VARYという「羅針盤」を得て、納得のいく選択を
――VARYには長く参加されているんですよね。
(Sさん)2022年に参加しました。VARYで自己肯定感の大切さを知り、声のかけ方を意識するようになりました。気持ちは育っているのに発語がゆっくりでうまく言葉にできないことが増えてくる年齢だったので、そうした関わりが本人の気持ちを支えることにつながったと思います。
私は大勢の前で話すのがあまり得意ではなく、座談会にはなかなか参加できませんでした。その代わりに、アーカイブを何度も見返して学んできました。特に初期のペアレント講座は繰り返し見て、ポジティブな声がけや対応の仕方を少しずつ身につけていきました。「これを軸にすればいいんだ」と思えるような、自分なりの指針ができた感覚があります。
また、さまざまな会員の方の話を聞く中で、「こんな可能性もあるんだ」と視野が広がったのも大きかったです。自分のペースで関われたことが、長く続けられた理由だと思います。
――就学先についても悩まれたそうですね。
(Sさん)支援級にするか通級にするか、本当に悩みました。そんな中で佑美先生と直接お話しする機会があり、新しい選択肢を教えていただきました。それまで塾に通うことは考えていなかったのですが、子どもに合う環境が見つかり、結果的に小学校入学の準備にもつながりました。
小学校では、「これ知ってる!」という気持ちでスタートできたことが、本人の安心感にもなったようです。悩みながら進んでいく中で、佑美先生はまさに羅針盤のような存在でした。
現在は通常級に通っています。授業にも落ち着いて参加できており、友達との大きなトラブルもありません。一方で、関わりの少なさという面もあるため、放課後デイサービスを利用し、少しずつ経験を広げているところです。
「肯定的な注目」のおかげで思いやりが深まった夫婦関係
――悩んでいたころのご自身に声をかけるとしたら?
(Sさん)「VARYに早く出会ってほしい」と伝えたいです。当時は不安でいっぱいで、いろいろな場所に相談したり、本をたくさん読んだりしていました。でも今は、困りごとの背景や対応の仕方が少しずつわかるようになり、気持ちにも余裕が出てきました。また、今はずっと手を繋いで歩きたいけど‥いつまで手を繋いで歩いてくれるかな?なんていう嬉しい悩みもあったりします。
「肯定的な注目」を知ったことで、子どもだけでなく、私自身や夫にも変化がありました。夫に対しても、「やってくれたんだね、ありがとう」と行動をそのまま言葉にして伝えるようにしたところ、少しずつ関係が変わっていき、家庭の雰囲気も穏やかになりました。
以前は子どものことについて夫とすれ違うこともありましたが、子どもの変化を一緒に感じる中で、自然と同じ方向を向くようになっていきました。今では夫も前向きな声かけをしてくれるようになっています。
そして何より、子ども自身も大きく変わりました。新しいことに慎重だった子が、「ちょっとやってみようかな」と前向きに挑戦する姿を見せてくれるようになりました。子どもの変化の力に驚きました。
VARYを通して、家族それぞれの自己肯定感が少しずつ高まり、自然と前向きな関わりが生まれ、親の心の余裕まで生まれました。
そうしたポジティブなサイクルを持つことができたことは、これからの成長するなかでいろいろまた出てくると思いますが、きっと助けになってくれるんじゃないかなと思います。
「車のおもちゃで遊ぶのが好き。自分で物語を考えて、車のおもちゃを使いながらストーリーが進みます」=Sさん提供
文:井上仁周